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2009/09/09

9月7日(月)に開催されました公開講演会(経営情報学科担当)に行ってきました.

 9月7日(月)に本学主催で経営情報学科担当の公開講演会が,長崎市興善町の長崎市立図書館にて開催されました.
 講演会の参加者は,全部で94名.大学が夏休み中ということもあり,学生の参加が少なかったものの,一般の参加者が75名でした.これらの参加者を受け付けるカウンターでは,2名の本学科女子学生が応援してくれました.

 講演会のテーマは,『繋がろう 明日へ!』.本学科の三浦主任の挨拶で始まり,基調講演に続き,事例発表,最後は美しいハーモニーを聴くことができました.以下では,私(日當明男)個人の感想を含めて各講演の内容を紹介させていただきます.

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長崎市立図書館
会場(長崎市立図書館)

 講演会受付 
講演会受付

 三浦主任による挨拶 
本学科主任三浦先生の挨拶

講演会場の様子
講演会場の様子

基調講演(藤澤雄一郎氏:本学科教授,中小企業診断士/社会労務士)

  基調講演の演題は
    『繋がる力』-社会・組織・人の連携力-


  話の切り出しは,講演会当日の朝に報じられた『イチローの2000本安打達成』でした.これがどのように関わっていくかと思いながら聴いていると,企業経営においては,合理性だけでなく,非合理的とも言える手法も重要である,との話に繋がってきました.また,先日の総選挙で政権交代が現実になろうとしている現状を幕末にたとえ,日本的な手法も時代に合わせて変わっていかなければならない,とのことでした.

 藤澤先生の講演では,『人との繋がり』が最も重要であり,それを基に『組織との繋がり』『組織間の繋がり』が生まれる,と感じました.また,『繋がってこその人間』との話では,人が成長するためには組織が必要であり,ストレスもまた人を成長させる要因である,とのことでした.しっかりと心に刻み,学生にも伝えて行きたい内容でした.

 私(日當明男)は,これまでにも藤澤先生の講演を聴く機会があり,そのたびに新しい言葉(フレーズ)に魅かれるのですが,今回は『大局着眼,小局着手』(「着眼大局,着手小局」とも言うらしい)でした.このフレーズは,これまでの講演会でも聞いていたかもしれませんが,この日はストレートに心に響きました.私の現在の状況に対するアドバイスだったのかもしれません.

藤澤教授
講演中の藤澤教授

事例発表(永田孝範氏:永田鉄工株式会社専務取締役)

  演題は
    『繋がる職場』-鉄工所らしくない鉄工所を目指して-

  講演に先立ち,永田鉄工株式会社を取り組んでいる『AOGU活動(*)』の発表会(6/28)の様子のDVDが上映されました.『AOGU活動』は永田鉄工株式会社が藤澤先生の指導の下で,取り組んでいる経営改善活動で,3年目に入っているそうです.

 実は,私(日當明男)は藤澤先生の紹介で,昨年と今年のAOGU活動の発表会に学生とともに参加させていただきました.昨年の発表会では,「これが経営改善活動なんだろうか」と驚きました.経営改善活動とはちょっと離れたように感じた内容で,従業員の意識改革や会社内の雰囲気や環境改革を目指した各委員会の活動報告でした.その報告の中には,鉄工所の周りに花を植えたり,野菜や果物を育てたりしていました.まさに,永田専務講演の副題(鉄工所らしくない鉄工所)という感じでした.

 そのような活動から1年後の今年の発表会では,各部署での数値目標に対する達成率などの報告でした.今回は昨年とは別の驚きがありました.それは,各部署が掲げた数値目標のほとんどを達成していたことです.AOGU活動を始めた当初に掲げた目標を2年で達成したとの事,これは驚きです. 現在は,更なる目標を掲げて,新たなAOGU活動に取り組んでいるとのことです.

 また,社員の意識改革の成果でしょうか,社内で『川柳大会』が開かれるそうです.講演では,沖縄への研修旅行時に社員が作った川柳がいくつか紹介されました.これもまた,「鉄工所らしくない」所の一つでしょう.

 直接的な合理的な経営改善策を採りがちな状況において,敢えて非合理的とも思える従業員間の和・組織内の雰囲気作りに取り組み,従業員の思いが一つになったところで,経営改善に向かえば,その達成には長い時間を必要としない事を永田専務の講演を聞きながら感じました.

永田専務
講演中の永田専務

(*) AOGU活動
  藤澤先生の命名による永田鉄工株式会社の経営改善活動の名前.Aは『明るく』,Oは『面白おかしく』,GUは『成長する:Grow Up』の頭文字を意味する.

事例発表(石井竜太氏:永田鉄工株式会社 研修・マナー委員会委員長)

 演題は
    『わが社のAOGU活動』-明るく 面白おかしく 皆で成長-

  石井氏の講演は声が大きく,その元気の良さから,永田鉄工株式会社の活力が滲み出てくる感じでした.また,AOGU活動に対して,社員が自ら進んで参加していることも当事者の話として聴くこともできました.


 石井氏の講演の中で特に興味深かったのは,『2つの人生』でした.これは,3年目を迎えたAOGU活動において,石井氏自身が参加している研修会で知った事として紹介されました.

  『2つの人生』とは,『請求書型人生』と『領収書型人生』だそうです.『請求書型人生』とは,他人に「コレをしてほしい」・「アレをして欲しい」と要求し,うまく行かないことがあれば,他人に責任を押し付けるという生き方のようです.

  一方,『領収書型人生』とは,「コレができたのは回りのおかげ」と周囲に感謝の気持ちを忘れず,うまく行かない事があれば,「コレは自分のステップアップのチャンス」と考える生き方のようです. 石井氏はこの『2つの人生』について学べたことに感謝していました.まさに,『領収書型人生』を送っているようです.

 この『2つの人生』には,私も感動しましたが,それ以上に驚いたことがあります.それは,このような事を会社内の研修で学べることです.まさに,永田専務の講演にあった「鉄工所らしくない鉄工所」です.

石井氏
講演中の石井氏

事例発表(田中真義氏:本学科4年生 藤澤ゼミ所属)

 演題は
    『繋がるゼミ』-人間力を学ぶ-

  本学科学生ということもあり,大丈夫だろうか,と不安を抱きながらを聴いていましたが,講演は「すばらしい」の一言でした.語りかけるような口調で,会場内の全員が聴き入っている感じでした.彼が本学科の学生であることを誇りに思いました.

 田中氏の講演は,大学入学当初から現在までの自身の内面的な成長の過程を客観的な分析を含んで紹介するものでした.特に,3年次から参加した藤澤ゼミで学んだことが,彼のこれからの人生に大きな影響を与えるだろう,と感じているようでした.

 彼が藤澤ゼミで学んだこと,それは『人間力』.藤澤先生も強調している『人間力』には,いろいろな力が含まれるようですが,その中心にある人生哲学のようなものが最も重要なようです.彼は,3年次のゼミでそのことに気づかされ,それまでの彼とは違ったひと回りもふた回りも大きくなった自分に気づいたようです.

 残念ながら,彼はまだ就職活動中(*)です.しかし,「残念ながら」との言葉がふさわしいかどうか分かりません.と言うのも,彼がこの状況に感謝しているのです.驚くべきことです.100年に一度と言われる不況,めったにないこのような状況で就職活動ができることに感謝する,なかなか到達できない境地です.彼はまさに『領収書型人生』を送るに違いありません.

 

内容の濃い,
引き込まれるような講演に
聴き入ってしまい,
写真を撮るのを
忘れてしまいました.
申し訳ありません.











(*) 9/18追記
  公開講演会の後に,地元企業の面接を受け,講演会での経験も話したそうです.その結果,めでたく内定を頂いた,とのことです.おめでとうございます.

繋がるハーモニー(長崎アカデミー男声合唱団)

 AOGU活動でも,藤澤先生の講義やゼミでも,人の調和が最も重要であり,それに導く手法として『ハーモニー』が採用されています.そこで,今回の講演会の締めくくりとして,藤澤先生が所属する合唱団の皆さんが美しいハーモニーを披露してくれました.

ハーモニー

 

参加者の感想

 今回の公開講演会では,参加者に各演題および全体に対する感想をアンケートという形式で記入いただきました.しかし,お寄せ頂いた個々の感想を紹介する承諾は得ていませんので,ここでは,全アンケートを拝見させていただいた私の感想を述べさせていただきます.

 藤澤先生の基調講演では,「繋がりの重要性を再認識」された方が多かったようです.中には,「もう少し深くまで聴きたかった」と感じた方もおられたようです.

 永田専務の講演では,「人間性向上」・「職場づくり」・「環境づくり」が結果として「利益向上」へと繋がることに注目された方が多かったようです.

 石井氏の講演では,「職場の雰囲気の良さ」・「社員の積極性」を感じた方が多かったようです.また,講師の元気の良さに会社の活力を感じた方もおられたようでした.

 田中氏の講演では,「学生とは思えないスピーチ」に彼の今後に期待する感想が多く,自身の若いときを思い出された方も多くいらっしゃったようです.

 また,ある学内関係者の感想として,「ここ3年間の本学の公開講演会の中で一番感動した」という声が寄せられました.(この学内関係者のコメントに関しては,HPでの公開について承諾を得ました.)

 全体として,今回の講演会に満足していただき,次回も参加したいとの感想が多くありました.しかし,私たちの至らなさや講演内容についての指摘もありました.今回の講演会のご感想及びご指摘は,今後の公開講演会の際の参考とさせていただきます.

 公開講演会に参加してくださったすべての皆さんに感謝申し上げます.ありがとうございました.

 

文責:経営情報学科 日當明男