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影本教授のコラムへようこそ!!

はじめまして。唐突ですが、私は研究が好きで研究者になりました。「研究」は「勉強」とは違います。「勉強」はわかっていることを学ぶことですが、「研究」はわかっていないことを明らかにすることです。皆さんも卒業研究で「研究」を経験し、さらに大学院に進学すれば、修士課程や博士課程で「研究」をすることとなります。既存の技術を改善することも「研究」にはなり得ますが、既存の技術とは全く違うアイデアで、そのアイデアをモデル化し、すばらしさを実証してみせることが「研究」の醍醐味だと思っています。私の経験からは、すぐれたアイデアは、いざアイデアを考えようとして机に向かって唸っても浮かんできません。それよりもむしろ、通勤の電車の中や、夜お風呂の湯船にゆっくりと浸かっているとき、すなわち、特に何も考えることもなくボーっとしているときに、突然ひらめいてきたりします。もちろん、日頃から問題意識をもっていなければ、何もひらめいたりしません。
ふたたび唐突ですが、皆さんはAI(人工知能)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。新聞を読めば、AIに関する記事を毎日4~5個は見つけることができます。人工知能の応用といえばロボットを思い浮かべる人も多いと思いますが、AIの応用分野は今や投資の判断、コールセンターの受付など、世の中のあらゆる分野に急速に浸透しつつあります。私は将棋が好きなのですが、AIが名人を初め現役のプロ棋士を次々と打ち破っています。深層学習という学習法で、過去の膨大な数の棋譜を学習させて、プロ棋士との対戦では、AIは学習した過去の棋譜からもっとも勝つ確率の高い手を選択して指すそうです。従って、AIは実は考えているのではなく、過去の棋譜を思い出して、過去の似たような局面から勝ちに至った手を選択して指しているようです。私が今思っているのは、野球の監督をAIにやらせたらどうなるだろうということです。将棋と同じように、過去の膨大なスコアブックを学習させて、バントやヒットエンドランなど、過去の同じような状況で最も勝ちに至った戦略を選択させるのです。残念ながら、将棋と違って、この「アイデア」を実際に試してみることは難しそうですが、高校野球でAIを監督にして連戦連勝して、甲子園で優勝したりしたら面白いなと、夜湯船に浸かってボーっと考えたりしています。カンピュータと呼ばれた長島監督のチームとAI監督のチームを対戦させたら面白いですよね。
私が日頃考えているつまらないアイデアをもう一つ。「柿ピー」というお菓子がありますよね。「柿の種」にピーナツが混ぜてあり、お酒を飲む人にも飲まない人にも人気があります。私が日頃不思議だなと思っているのは、小袋に入っている「柿ピー」に切り口を開けて袋を振って中身を机の上に出そうとすると、ピーナッツが中々出てこず、「柿の種」ばかり出てくることです。私だけの錯覚かとも思いますが、皆さんはどうでしょうか。全く対象は異なりますが、土石流が斜面を流れ落ちるとき、流れ落ちるに従って土石流に含まれる岩石が徐々に表面に浮かび上がってくるという専門家の話をテレビで聞いたことがありますが、このようなメカニズムと関連あるのかなと、これも夜湯船の中でボーっと考えたりもしています。この「柿ピーの謎」を解明しても、「だからなんだ」と言われそうですが、もしかしたら、混合体からの各構成物質の画期的な分離法などに結びついたりして・・・なんて湯船でボーっと考えています。お風呂にまでスマホを持ち込んで、お風呂スマホをやってる場合じゃないですよ。
研究チャンスがあちこちに落ちています。これを読んでくださってる方の中に偉大な研究者になるチャンスを逃している人がいるかも知れません。唐突なアイデアでもいいので不思議だな、研究してみたいなと思う課題があったらいつでも私の研究室のドアをたたいてください。   

                             By 影本 浩